ゆりだなぁ。

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「君と綴るうたかた」百合漫画レビュー

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  • 作者:ゆあま
  • 巻数:1巻(2021年2月現在)
  • 初版:2021年
  • タグ:GL、高校

人との接点を避けて生きている 女子高生・星川雫は、 誰にも見せずに執筆していた小説をクラスメイトの 朝香夏織に見られてしまう。 作品を嘲笑されると怯える雫だったが、 小説を読んだ夏織からは 全く予想していない感想が飛び出してきて…。

物語を通してつながる少女二人の、 甘く切ないひと夏だけの恋人ごっこ

感想

前作から大分雰囲気が変わったなぁという印象はありつつも登場人物は相変わらず魅力的で、予想もしない行動で星川さんを驚かせながらも人好きのする感じを崩さない朝香さんは可愛いし、戸惑いつつも朝香さんと過ごす夏休みを楽しむ星川さんもとても可愛い。

ただ、どこか切ない雰囲気が漂うのは、時折挟まれる二人の影のような描写のためか。 なぞらえるなら夏の終わりのような寂しさ。

自分を許すことは他人を許すことよりもはるかに難しくて、本作の主人公の星川も恐らくそのためにずっと苦しんでいる人なんだろうなぁ、と。 1巻のラストで明かされる星川が人を遠ざけていた理由が、物語の主軸のよう。

気にしなくて良いよなんて都合の良い言葉をかけてくれる他人は探せば見つかるのだろうけど、それが自分の言葉になるのは難しくて、いつのまにか壁の内側に来ていた朝香夏織という存在が、過去と向き合うきっかけになれるのか、そして、恐らく同じく傷を抱えているであろう彼女に星川が寄り添えるのか、今後が気になるところ。

描かれるのは恋人と呼ぶには微笑ましい光景なのだけれど、何だか無性に危うくて胸がキュッとなる。絶妙な塩梅で成立している作品な気がします。

とにもかくにも、2巻が待ち遠しい。