「チヨちゃんの嫁入り」百合漫画レビュー
- 作者:伊藤ハチ
- 巻数:全1巻
- 初版:2016年
- 分類:GL、短編集、主従、おねロリ
「伊藤ハチ」先生作の百合漫画「チヨちゃんの嫁入り」のレビューもとい感想です。ネタバレ多少ありますのでご注意ください。
さて、こちらの単行本は同人誌として発表されていた作品がまとめられた短編集で、おねロリが多めです。ハチ先生流石です。
短編集ですのでそれぞれについて簡単に振り返っていきます。
主従百合本
不器用で真面目な召使いの「リツ」と、彼女が仕える病弱なお嬢様との主従百合物語。屋敷から出ることもできないまま、少しずつ病気で弱っていくお嬢様の願いを叶えるためリツは恋人になることを決意します。
どこまでも不器用なリツがとても可愛かったです。お嬢様が健康で普通の生活をしていたらずっと自分の気持ちは伏せていたんじゃないなぁ、と。
自分たちの関係をずっと偽りのものだと考えていた辺りも真面目な性格がよく表れてました。。傍から見ているとどうみても相思相愛なんですが。原因不明の病も恋の力には勝てませんね。良かった良かった。
春に降る雪
頭に獣の耳を持つ人々の世界の話。山奥の雪で閉ざされた村の外れで孤独に暮らす一人の少女「シロ」は獣耳が無いこと、特殊な力を持つことを理由に村人から忌み嫌われていました。そんな彼女の生活が、ある日村にやって来た研究者を名乗る女性との出会いにより変化していきます。
シロが虐められてるのが単純に辛かった。珍しいお菓子に喜んだり、風の音に怯えたり、年相応の反応がとても愛らしいだけに、普通の生活を望む姿が痛々しかったです。
拒絶するシロの心を少しずつ溶かし、シロの力を恐れることなくその手を取りに行く研究者のお姉さんが、とてもカッコいい短編でした。二人で幸せに暮らしてほしいです。
チヨちゃんの嫁入り・後日談
表題作の短編。十と五歳離れた歳上の優しいお隣さんこと「千ちゃん」に憧れる「チヨちゃん」の物語。家族のようなつながりを抱くチヨちゃんの心は、千ちゃんのお見合い話により大きく揺れ動きます。
早くに両親を亡くしてしまった千ちゃんを、小さなチヨちゃんが子どもなりに一生懸命励まし寄り添おうとするんですよ。可愛すぎか。
家族になってあげる、なんて言ってしまうチヨちゃんですがその気持ちが恋であることに気づいていないんですよね。そんなチヨちゃんをそっと見守る千ちゃんはどんな想いだったのだろうかと。
ラストの手紙に込められた秘めた感情が素敵でした。おねロリ、尊い。
同人誌はどうしても買いにくい所があるので、こうした形で再出版していただけるのはありがたいですね。親公認のロリとの婚約というのも珍しい気がします。
最後までお読みいただきありがとうございました。