「少女²」百合漫画をレビューしたい
- 作者:未幡
- 巻数:全1巻
- 初版:2015年
- 分類:GL、学園モノ、短編集
「未幡」様の漫画「少女²」のレビューもとい感想です。ネタバレが多少ありますのでご注意ください。
叙情的でどこか詩的、ときに夢見心地な雰囲気がとても美しい短篇集です。キスシーン等の直接的な描写を少なめに、少女たちの間に流れる特別な空気が伝わってくるのが面白いです。
さて、短編集ですのでそれぞれのストーリーについて簡単に振り返ってみたいと思います。
花筐・加賀先輩と読み合わせ
演劇部の華「加賀先輩」と臆することなく彼女に向かっていく後輩の「雪峯さん」の物語。遠巻きに憧れの対象とする生徒が多い中、あけすけに気持ちをぶつけてくる雪峯さんに加賀先輩の心は乱されます。
演劇部の二人がメインということで短編集の中でもより一層リリカルな感じです。台詞回しがとても好みでした。戸惑いながらも雪峯さんのことを無視できない加賀先輩は、本当はとても可愛らしい人なんだなぁと。
ベリーガーデン
加賀先輩に憧れ、演劇部の外での練習をこっそり見学している二人の少女の物語。時系列的には花筐の後、加賀先輩と雪峯さんの関係が間接的にこの二人の関係にも影響します。特にラストシーンが印象的でした。
イエイオン
演劇部の照明担当の「志戸さん」が内緒でラブレターを書いているところを目撃した雪峯さんは事情を察し、加賀先輩と雪峯さんと志戸さんの三人で協力して手紙を完成させることにします。
裏表のない雪峯さんの厚意と控えめな志戸さんの恋心が素敵な短編でした。
even・step in
幼なじみの奈央と千歳の物語。中学生になりバスケ部に入部したことをきっかけに段々と活発になっていく奈央に対して、千歳はこれまでの関係が変化してしまうことを恐れ苛立ちます。
成長した二人の間に変わらず残り、今までとは違った意味を持ち始めた幼い頃の無邪気な約束がとても甘酸っぱい話でした。
shabon・shabonのあと
16歳の誕生日の夢を叶える少女の物語。密やかな恋模様がとてもくすぐったく快いです。秘密のハズなのに我慢できなくてボカシながら友人に惚気けているところも個人的にツボでした。
タイトルに関連してシャポン玉を飛ばすシーンが登場します。爽やかです。
土曜のコーヒーは犯人と・平日のコーヒーは探偵と
50円玉20枚を千円に両替する謎の女性に遭遇したミステリー研究会の部長は、その謎を解き明かすことを決意します。推理小説では得てして犯行の動機が一番の謎になることがありますがこれもそのパターンでしょうか。
ミステリー系ですので、詳細は控えます。
完全版にしか収録されていない短編がありますのでそちらの方がオススメです。最後までお読みいただきありがとうございました。