「やがて君になる 佐伯沙弥香について」百合小説をレビューしたい
- 作者:入間人間、原作・イラスト:仲谷鳰
- 巻数:2巻
- 初版:2018年
- 分類:GL、無自覚の恋、学園モノ
「入間人間」様がノベライズを担当された、やがて君になるのスピンオフ小説「やがて君になる 佐伯沙弥香について」のレビューもとい感想です。ネタバレが多少ありますのでご注意ください。
スピンオフ小説ですが、原作未読の場合でも楽しめると思います。ですが続きが気になる終わり方なので原作を知っている方がより楽しめると思います(掌返し)。「やがて君になる」オススメですよ(ダイマ)。
原作の方では何かと謎の多い副会長「佐伯沙弥香」が主人公の今作品、劇中で少しだけ触れられた中学時代に付き合っていた先輩とのエピソードが明らかになります。
結末は推して知るべしということで、やだなー、こわいなー、と呟きながら初々しい恋の物語を読むという中々不思議な読書体験でした。ただ、そういうものとして読むと、色々ストンと腑に落ちるようになっていて面白かったです。セリフの端々から恋に恋する雰囲気が伝わってきて、場面の盛り上がりに反して心がザワザワしてしまいました。普段ならヤッホーイて叫んでるんですけど。
さて、大きく2パートに別れているのでかんたんに振り返ってみます。
・5年3組 佐伯沙弥香
佐伯先輩の小学生時代の物語。同じスイミングスクールに通っていた少女とのひと夏の思い出が語られます。まだ幼く、上手く自身の感情に向き合えなかったことが全ての始まりなのだと思うと、もどかしいような、仕方のないような複雑な気分。
・友澄女子中学校2-C 佐伯沙弥香
中学生になった佐伯先輩の物語。同じ部活の柚木先輩に告白された彼女は戸惑いながらも受け入れることを決めます。良くも悪くも柚木先輩はお嬢様って感じですね。フワフワしたところが可愛らしいですけど、ワガママでも許されると思っていそうなあたりが何とも。微妙にかみ合わない二人の会話が切ない。
高校で「七海燈子」と出会ったその後のストーリーは原作の通りです。七海先輩に一目惚れした佐伯先輩を見て(読んで)何だかホッとしてしまったのですが、それはそれでややこしいんですよね。ままならない人だなぁ、と。幸せになってほしい。
小学校、中学校時代に出会ったその他の二人についてもその後を詳しく読んでみたいです。月日を経て過去をどう捉えているのだろうかと。まあ、原作の再会シーンもきっぱりと決別していて良いのですが、先輩も成長するでしょうし。
何はともあれ最後までお読みいただきありがとうございました。